奈良県出身→早大法学部卒→弁護士秘書として勤務→結婚して4人の子供を出産。
現在大学生~小学生まで1男3女の子供がいます。子育てを通して感じたことや子どもの教育に関する情報発信をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
共働き家庭が増えている今、「3歳児神話」という言葉自体あまり聞かなくなりましたね。
それでも「3歳までは子育てに専念しなければ」と思うことで、苦しんでいるお母さんも多いのではないでしょうか。
「3歳児神話」が広まったのは、1951年イギリスの精神科医ボウルヴィがWHOから依頼され、施設で育った子どもや戦争孤児の精神発達に関して調査を行った際の報告書がきっかけでした。
「母とふれ合うことのない3歳までの子の心身には発達の遅れがみられた」という内容の報告書が1960年代に日本にも紹介され、「3歳までは母親が家庭で子どもを育てるべき」と拡大解釈されて広まったのですね。
今回は、現代において今なお母親たちを苦しめている「3歳児神話」について考えていきたいと思います。
年々共働き家庭の割合が増えています。
そんな中習い事の送迎となると、仕事が忙しかったりお天気が悪かったりする日はなかなか荷が重いもの。
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そもそも「3歳児神話」とは?
ここでは「3歳児神話」と言う言葉には具体的にどのような意味があるのか、みていきましょう。
「3歳児神話」とは1:「3歳児神話」の要素
- 子供の成長にとって幼少期が重要である。
- この大切な時期は生みの母親が養育に専念しなければならない。なぜならお腹を痛めたわが子に対する母の愛情は子供にとって最善だからである。
- 母親が就労などの理由で育児に専念しないと、将来子供の発達に悪い影響を残す場合がある。
引用元:Wikipedia
「3歳児神話」とは2:日本では拡大解釈がされている
上にあげた「3歳児神話の要素」については、イギリスの精神科医ボウルヴィが重要であるとした「母性的養育」が、日本においては「母親による養育」として広まったという背景があります。
特に「母性」の部分が強調されたことにより、「母親が頑張らないと」と責任を感じて「3歳児神話」に振り回されてしまうお母さんたちが多いのですね。
「3歳児神話」とは3:平成10年の厚生白書で否定
厚生労働省の厚生白書(平成10年版)では、「3歳児神話には、少なくとも合理的な根拠は認められない。」と「3歳児神話」を否定する節があります。
少子化対策のとり組みの一環とも考えられますが、「そうか、根拠がないなら子どもが小さいうちから外に出て働こう」と急に考え方を変えられる人ばかりではありません。
働いているかどうかにかかわらず、心のどこかに「3歳児神話」が残っている人は多いはず。
長年にわたって形成されてきた固定観念は、そうかんたんには覆されませんね。
「3歳児神話」に賛成(賛成に近い)の意見
3歳児神話なんて今の時代ないのはわかっている。でも子供にとってじゃなく「私にとって」人生で一度しかない子供が小さいときに一緒にいたい。会社を辞めた理由は意外とシンプルだったのかも。
3歳児神話については保守派です。っていうか、かわいいい時は可愛がっておかなきゃ、もったいないと思いますね。
父親でなく母親である必要性はわからないが、3歳頃までの環境、接され方は極めて重要で子どもの脳や人格形成のベースになる、とは間違っているとは思わないのだけど。
引用元:Twitter
保育士の配置数を考えると、アタッチメント(愛着)の形成には不十分だと思う。
保育園にいる時間は乳幼児にとっては長すぎる。小学1年生だって最初は学校に4時間くらいしかいないのに、その倍から3倍に近い時間保育園にいるのである。
虐待や育児能力の低いケースは別だが、年少(3歳児クラス)になるくらいまでは、家庭で過ごした方がいいと思う。
保育園の整備よりも育児休業を充実させるべき。
「3歳児神話」に否定的な意見
ママが一緒にいないと子どもの発達や愛着形成に悪影響なんてことないから。大事なのは、愛情の「量」じゃなくて、「質」。一緒にいる時間は短くても、愛情は伝わる。
「3歳児神話」を中核とする母性観を神話だとして、「母性愛神話からの解放」を訴えました。決して、母親の愛情の大切さを否定することではありません。むしろ、母親が喜びを持って子どもと関わるためにこそ、社会や周囲の支援が必要だと訴えたのです。
「母性的」というのは母でなくても良いわけで、ボウルビーもそう説明していたのだけれど、歪曲されて伝わったことで3歳児神話ができあがってしまったみたい。
日本だと子育ては罰ゲームというのは事実だ。子が体調を崩した時に、父親なら妻が納得していれば遊びに行ってもとやかく言われないが母親は言われる。母性神話と3歳児神話がいまだにあるからな。
自我やら何やら芽生え始めていく時期に、母子で孤立しててもねえ。他の子供達と関わることで学べることの方が多いよね。
0歳から保育園に預けてむちゃくちゃいい子に育った20歳の息子を見てるから、3歳児神話については本当に何言ってるのか分らない。
人と関わるのが苦手だったうちの子が、保育園でどんどん友達と関わってるのを見ると、逆に小さいうちから集団に入れておいた方がいいんだなと思った。3歳児神話とか、多分逆効果だと思う。
引用元:Twitter
「当たり前」は時代や国によって違う【3歳児神話を考えるにあたって】
育児の常識や当たり前は、時代や国によってちがってきます。
ここでは世界幸福度ランキングで上位にきている北欧の国々と、日本の育児文化のちがいについてみていきましょう。
育児の「当たり前」:北欧の場合
引用元:nippon.com
世界幸福度ランキングを見てみると、トップ5はほぼ北欧の国が占めていることがわかりますね。
北欧では0歳~6歳の子どもにかける公費が多く、子育てをしやすい環境づくりに力を入れています。
北欧の妊娠・出産・子育て環境の特徴
- 大人はひとりひとりが自立していて夫も妻もそれぞれが仕事を持ち、子供もできるだけ早く独立するべきという考え。
- 妊娠&出産にかかる費用は無料で、保育園は有料だがその後大学までの教育費が無料。
- 父親と母親が同じように家事・育児をすることが当たり前だと考えられている。
- 育休制度が充実しているため、妊娠&出産で仕事を辞める人がほとんどいない。
- 育休をとっても降格するようなことはなく、男女ともに同じ職場の同じポジションに戻れる。
- 子どもを保育園に100%入れることができる。
- 時短勤務制度や子どもの病気休暇制度が充実している。
- 国際学力調査結果で常に上位の成績を収めているフィンランドでは、2016年からプログラミング教育を1年生~9年生までの義務教育でとりいれている。
- 1人あたりの国民総所得が日本の4割も高いスウェーデンでは、STEAM教育による人材育成が特徴としてあげられる。
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育児の「当たり前」:日本
引用元:産業精神保健研究機構
世界幸福度ランキングで日本を探そうとすると、残念なことにかなり下まで見ないとみつかりません。
2020年時点で幸福度が62位の日本。
成熟していて物質的にも豊かなはずの日本の幸福度はどうしてこんなに低いのでしょう。
上でご紹介した北欧の国々とは反対に、「子育てのしにくい国」であることが幸福度と切っても切り離せない関係にあるのではないでしょうか。
日本の妊娠・出産・子育て環境の特徴
- 今の日本は核家族が多く、親族同士のネットワークを利用した育児のサポート支援の機会が減っている。
- 男性の育休制度が充実しておらず、母親が孤独な環境で育児不安を抱えているケースが多い。
- 子育て世帯に対する税控除の割合や手当などの直接給付額が先進国の中で低い水準にある。
- 希望した人が全員保育園を利用できるわけではなく、未認可保育園を利用せざるを得ない場合や母親が仕事を辞めるケースも多い。
- 「社会全体で子どもを育て上げる」という意識が薄く両親、特に母親に育児の負担がかかりやすい。
- 男性社会の中、「子育ては母親がするべきだ」という根強い「3歳児神話」が残っている。
- 社会情勢の変化により共働き家庭が増えたにもかかわらず、子育て支援が充分でないため安心して子どもを生んで育てられる環境が整っているとは言いがたい。
- 大学の学費をはじめとして子育てには膨大なお金がかかり、金銭的な負担が大きい上に年金問題など老後資金の不安などから子育てに前向きになれない人が多い。
- 2020年度から小学校でプログラミング教育の必修化がスタート。
日本の子育て環境の特徴を書いているだけで、どんよりと暗い気持ちになってきます。
水道や電気など、生活インフラの整備は進んでいても「子育てインフラ」はまだまだ不十分。
北欧ほどの整った環境はむずかしくても、幸福度の高い国の子育て支援を参考に、少しずつでも「社会全体で子どもを育てていく」方向へ意識を変えていくことが大切ですね。
「3歳児神話」について~自分自身の記憶と子育て経験から~
私自身は教育や発達の専門家ではないため、「3歳児神話」についてはあくまでも自分の子ども時代の記憶や子育て経験に基づいた個人的な考えとなります。
「3歳児神話」の検証~自分自身の記憶と子育て経験から~
Wikipedia(ウィキペディア)から引用した「3歳児神話の要素3つ」について考えてみたいと思います。
「3歳児神話」の検証1:子どもの成長にとって幼少期が重要
「幼少期が大切」ではなく、「幼少期も大切」と表現した方が適切な気がしませんか。
正直、3歳くらいまでの記憶って断片的にしか残っていません。
記憶に残るかどうかに関係なく幼少期の愛着関係が大切、というのもわかりますが、記憶に残るくらいの年齢になってからの親子関係の方が大切な気もします。
大人になってから思い起こすのは、いつもある程度大きくなってからの記憶や思い出ばかり。
逆に小さい頃に温かい家庭環境で育っても、状況が変わって逆の環境に身を置くことになり、辛い記憶をずっと背負って生きていく子どもだっているはずです。
「3歳まで」という部分が強調されていますが、実際は「18歳くらいまで」子どもを取り巻く環境が、良きにせよ悪しきにせよ、その後の子どもの人生に大きな影響を与えると思います。
環境といっても「両親がそろっていれば幸せ」という単純なものではありません。
一見恵まれた家庭環境でも、心に大きな悩みや苦しみを抱えている子どももいれば、一見不遇そうに思えても逆境をバネに大きく羽ばたき、幸せをつかみとる子どもだっています。
どのような環境が良くてどんな環境が良くないのか、一概にはいえないため「子どもの幼少期は母親が家庭内で育児に専念するべき」と決めつけることはできませんね。
「3歳児神話」の検証2:生みの母親が養育に専念すべき
生物学的には女性しか子どもを産むことができないため、「生みの母親」の存在が子どもにとって絶対的なものだと考えられているわけですね。
母親である以前にひとりの人間であって、個性や適性もさまざまです。
現実的に母親の身体から子どもが生まれてきたからといって、全ての母親に育児の適性があるわけではなく、またそれを求めるべきではないでしょう。
そして自分の身体から生まれた子どもであっても、親とはちがう個性を持ったひとりの人間です。
親子であっても「他者」同士と考えれば、親子間の相性の良し悪しが「育児のしやすさ、育てにくさ」と大きく関係してくるのは当然のことですね。
「3歳児神話」の検証3:母親が育児に専念しないと子どもの発達に悪い影響がある
母親が育児に全エネルギーを費やしたからといって良好な親子関係が築けるわけではありません。
専業主婦の母親に育てられた場合、「将来は絶対専業主婦にはならない。ずっと働き続けたい」と思う子どもが多いとか。
逆に「お母さんがずっと働いていて家にいないことが多かったから、自分は専業主婦になりたい」と思うケースもあるでしょう。
母親が持っているエネルギーをすべて子どもに費やすことが、子どもにとってプラスになるかマイナスになるかは母親の性格と子どもの性格、親子間の相性によりますね。
「母親が育児に専念しないと子どもの発達に悪い影響がある」とは、一概にいえないでしょう。
「子どもの心身の発達と3歳児神話が密接に関わっている」と考えるのは、曲がりなりにも4人の子どもたちを育てている私の感覚からすると、少しちがうかなあと感じます。
「3歳児神話」の検証:働くことも子どもへの愛情
子どもが小さいうちから保育園に預けて働くことは、何も「自己実現」だけが目的ではないはず。
「子供の将来の選択肢を広げてあげたい」「より良い教育を受けさせてあげたい」という思いから働き続けている人も多いと思います。
特に「教育費」は毎年のように値上がりしていて、子どもを持つ親にとっては頭の痛い問題ですよね。
行きたい学校に通うにも、合格を目指して塾通いをするためにもお金がかかります。
働いて子どもの教育費をしっかり準備してあげることや、将来子どもに迷惑をかけないように老後資金を貯めることも、子どもへの「愛情」だといえますよね。
教育費の問題
少子化で子どもの数が減っていることもあり、教育費は特にインフレしやすい分野です。
教育費については子どもが小さいうちから対策を立てて準備をしましょう。
老後資金の問題
晩婚化や晩産化が進んでいる今の時代、教育費の準備と並行して老後資金の準備もしなくてはいけません。
「老後は子どもに迷惑をかけたくない」との思いから、仕事を続けている人もいるはずです。
今は子どもも自分の生活だけで精一杯ですよね。
老後資金の問題は、子どもや孫の生活にも大きく関わってきます。
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「3歳児神話」の検証:時代背景の変化
「3歳児神話」を単なる「神話」として見向きもしない、というのは少し乱暴な気がします。だからといって、完全に信じ込んでひとりで孤独に育児に邁進するのも健全な状態とはいえませんよね。
私たちの子ども時代は子どもの数が多く、専業主婦の母親だけではなく親族や地域社会みんなで子どもを見守るような環境が今よりも整っていました。
それゆえ、高度経済成長期に「3歳児神話」が広がってもそこまで母親たちの負担にはならなかったのでしょう。
お給料も右肩上がりで、銀行や郵貯に預けていれば高い金利がついてお金が増えていく時代でもあったため、一馬力で問題なく生活していける家庭も多かったはず。
核家族が増え、親元を離れて子育てをしている夫婦が多い今の時代、親だけで子育てをしようとすると心身に大きな負担がかかります。
保育園やベビーシッターなど、「子育てのプロ」の手をかりながら子どもを育てるのが当たり前の世の中になればいいですね。
末っ子が2歳の時に小学校の役員をしていたため、定例会の際に何度か一時預かり施設を利用したことがあります。
フルタイムで働いていない場合でも、一時預かり施設を無料か格安で利用できればもっと気軽に人に頼れるのになあ、と感じました。
2歳くらいまでがいちばん可愛くて、いちばん大変な時期なんですよね。
出生届を出す際に地域の一時預かり施設を利用できるチケットを何枚か配布するなど、仕事をしているかどうかに関係なく、気軽に子育て支援サービスを受けられるようになるとありがたいですね。
まとめ:いつだって「お母さんの笑顔」が子どもにとっていちばんの栄養
今回は「3歳児神話」について書きました。
いかがでしたか。
仕事をしている、していないに関わらず母親であれば誰もが多かれ少なかれ「3歳児神話」の呪縛に苦しめられてきたのではないでしょうか。
家事と育児に専念している母親が愛情深いとは限りませんし、子どもを預けて働いている母親の愛情が足りないということもありません。
子どもが「周りの大人たちから愛情をかけられて育つ」ことは大切ですが、それは母親を家庭のみに縛り付ける理由になりませんね。
「母と子の絆」について考えるとき、「お母さんの笑顔」が子どもの心にとっていちばんの栄養になるはずです。
「3歳児神話」を信じるか信じないかに正解はありません。
「自分が信じた道を、自信を持って歩むこと」が大切だといえるしょう。
「母親らしく」というより、みんなが「自分らしく」いられるような社会構造に変化していくことを願っています。