長寿は本来よろこばしいことですが、長生きがリスクであるといわれる時代になりましたね。
以前は定年退職してから亡くなるまでの期間がそんなに長くなかったため、「亡くなるまでは国がめんどうをみますよ」という意味で創設された年金制度も問題なく機能していました。
ところが想定以上に長寿化が進み、今や私たちは年金だけに頼ることなく「人生100年時代」を生き抜くための術を考えなければいけません。
老後のことを考えると「長生きするのが怖い」「長生きするのが不安」と思っている人も多いのではないでしょうか。
平均寿命の推移と健康寿命|まさに人生100年時代
ここ日本では平均寿命が過去最高を更新し続けていますが、平均寿命が延びれば延びるほど自立して元気に暮らせる健康寿命が重要になってきます。
日本人の平均寿命の推移
引用元:第一薬品工業株式会社
グラフを見てもわかるように、日本人の平均寿命はここ50年くらいで約20歳以上も延びています。
実際に自分が何歳まで生きるかは誰にもわかりませんが、日本全体でみると単なる長寿社会を通り越して超長寿社会が到来しつつあることは確かですね。
平均寿命と健康寿命の差
引用元:第一薬品工業株式会社
平均寿命と健康寿命の差をみてみると、男性が約9年で女性が約12年となっています。
人生の7分の1から8分の1くらい介護されていることになりますね。
ただ長生きするより、平均寿命と健康寿命の差が短い人の方が人生の幸福度は高そうです。
平均寿命と健康寿命の差を縮めることがこれからの超長寿社会の課題だといえるでしょう。
みんなが老後の何に不安を感じているか
漠然と「老後の不安」といっても不安の要因はさまざまですよね。
ここではみんなが老後生活の何について心配しているか、アンケート結果をみていきましょう。
老後に不安を感じている人の割合
引用元:シニアガイド
老後に不安を感じている人の割合:年代別
引用元:シニアガイド
老後に不安を感じることランキング
引用元:メットライフ生命
老後2,000万円問題の正体とは?
「住居費・教育資金・老後資金」が人生における三大支出だといわれていますが、住居費は持ち家でも賃貸でも自分の選択次第で必要な費用を下げることができます。
さらに教育費に関しても子どもがいない人には必要ないですね。
一方で老後資金は独身でも配偶者がいても、子供の有無も関係なくすべての人に必要となる支出です。
ここでは老後生活に必要なお金についてみていきましょう。
退職金の推移
引用元:EL BORDE by野村證券
昭和の時代なら予想した通りの退職金が支払われることが多かったため、充分な年金をもらいながら退職金を老後資金に充てることもできました。
先行き不透明な今の時代においては、もう退職金をあてにできなくなりましたね。
企業にも「退職金を支払う」義務はないため、実際にどのくらいの額が支払われるか予想できません。
老後に必要な生活費
まず前提条件として人によって生活スタイルがちがうため、上のグラフがすべての高齢者に当てはまるわけではありません。
こんなに必要ない人もいれば、全然足りない人もいるでしょう。
「不足分を計算すると、老後30年間で約2,000万円になる」と金融庁が発表して大きな波紋をよんだことは記憶に新しいですね。
ただ「支給される年金と今の貯金に加えて新たに2,000万円を用意しなければいけない」というわけではないため、冷静に考えるとそこまで大騒ぎするほどの問題ではなさそうです。
高齢者夫婦の平均貯蓄額
引用元:みんなの介護
世帯主が65歳以上の場合、平均で2,499万円の貯蓄があるため既に「老後2,000万円問題」がクリアできている人も多そうです。
今の現役世代が同じだけの額を貯められるかという問題はありますが、国がiDeCo(イデコ)やNISAなどの制度で「自分年金づくり」を後押ししてくれているため上手に利用しながら賢く資産形成をしていきたいですね。
老後2,000万円問題を解決したい|早くから準備をすれば大丈夫
老後資金の問題を解決するために、私たちは今からどのようなことにとり組めばいいのでしょう。
老後2,000万円問題の解決策1:支出を減らす
今から節約をして賢くお金を使う習慣を身につけることは、先々の老後対策にもなるのです。
貯蓄を切り崩さず年金だけで暮らしている人がいる一方で、老後破綻に陥る人もいますよね。
若い頃に正しい節約をして暮らす分にはさほどみじめな思いをすることもないですが、年をとって身体が思うように動かなくなり、収入が途絶えてから困窮するのはとてもみじめなものです。
老後2,000万円問題の解決策2:現役時代に住宅ローンを完済する
最近は晩婚化や高齢出産の影響で住宅を購入する年齢が上がっています。
40歳で30年の住宅ローンを組んだ場合、完済するのは70歳になりますね。
老後資金にあてるつもりだった退職金を全額住宅ローンの支払いに回すことになり、老後資金の予定が狂ってしまうことも。
そもそもあてにしていた退職金が減額される可能性も考えると、高額な住宅ローンを組まないことと労働力に頼れる現役時代に住宅ローンを完済することをおすすめします。
老後2,000万円問題の解決策3:教育費をかけすぎない
教育費に関しても、やはり昨今の晩婚化と高齢出産が増えている現状から一昔前とはちがった問題が出てきています。
いつまでも教育費がかかる問題
40歳を過ぎて子どもが生まれた場合、親が還暦を迎える60歳時点で子どもはまだ18歳なのでここから4年間~6年間大学の高い学費を払い続けないといけません。
そうなると、教育費を捻出しながら老後資金を貯めなくてはいけなくなりますね。
教育費も老後資金もどちらも大事なので、先々まで見越して使うことと貯めることのバランスを上手にとっていきましょう。
教育費をかけすぎる問題
我が家にも子どもが4人いるため、「大切な子どもによい教育を受けさせたい」と思う親心はよくわかります。
ただ元も子もない話をすると、子どもの適性や能力は「遺伝」で決まる部分が多いのが現実。
もちろん両親の遺伝だけではなく、祖父母や顔も知らないご先祖まで誰のどんな遺伝的要素が出てくるかは誰にもわかりません。
いずれにしても子どもの「好き」を大切に育ててあげることを第一に考え、老後破綻を引き起こすほどの大金を教育費につぎ込まないことが大切ですね。
老後2,000万円問題の解決策4:詐欺にあわない
「自分だけは絶対に大丈夫」と思っていても、詐欺にあって数百万~数千万単位でお金をだまし取られて一気に老後破綻に陥るケースもあり得ます。
大きな金額を支払う前に家族やご近所さんに相談すれば詐欺や悪徳商法の被害にあうことを回避できるはず。
想定外の老後破綻を避けるためにも、普段から身近な人と揺るぎない信頼関係を築いておくことが大切ですね。
子どもの立場でも常日頃から親とコミュニケーションをとるように心がけたいものです。
とはいえ遠方で暮らしていると、いつも近くで親のことを見守ることはできませんよね。
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老後に必要なのは金融資産だけ?【無形資産の運用も大切】
老後生活に対する不安は、お金さえ充分にあればすべて解決されるのでしょうか。
ここでは老後に必要な資産を有形資産と無形資産にわけて考えましょう。
金融資産は有形資産
老後の不安NO.1は「お金の問題」であることはアンケート結果からもわかりますが、預貯金や株式、不動産などの金融資産は形のある有形資産です。
実は老後生活の助けになるこれらの有形資産は、次に書く無形資産との相乗効果でより効率的に築くことができるのです。
無形資産も築きましょう
現実的に生活を支えてくれるのは預貯金などの有形資産ですが、老後に不安を抱く原因を突きつめていくと、次にあげるような無形資産の積み上げが足りていないことが考えられるのではないでしょうか。
無形資産の種類
- 家族との関係
- 友人関係
- コミュニティ
- 仕事上の信頼関係
- 知識
- スキル
- 趣味
老後における無形資産の価値
もちろん人間関係や信頼、収入アップにつながる知識やスキルなどは現役時代にも大切ですが、年を重ねてからはよりこれらの無形資産の大切さが身にしみるはずです。
預貯金などは切り崩すとなくなりますし、投資によって得られる配当金なども減配や無配になる可能性がありますね。
株価が暴落して投資元本が目減りすることも充分あり得ます。
バリバリ働ける現役時代は再び稼いでマイナス分をとり戻すこともできますが、老後に減ってしまった有形資産をとり戻すのはむずかしいもの。
形あるものはいつ何時消えてなくなるかわかりませんが、身につけた知識は誰にも奪われません。
それに人間関係だってこの世を去る瞬間まで築き上げていけますよね。
親の老後問題と向き合う|自分たちの資産形成にも大きな影響が!?
現在30代~50代の人は、そう遠くない将来に親の介護問題と向き合う時期がやってきます。
住宅ローンを支払いながら子供の教育費を工面し、さらに来たるべき老後に備えて資産形成をするだけでも充分ハードですよね。
さらにここに親の介護問題まで加わると思うと、想像しただけで気が遠くなりそうです。
親子で共倒れにならないよう、受けられる介護保険サービスなど早めにチェックしておきましょう。
親の老後問題:要介護認定の手続の流れ
引用元:みんなの介護
親の老後問題:利用できる介護保険サービスの限度額
サービス | 段階 | 支払限度額(1ヶ月あたり) |
非該当 | 自立 | 0円 |
介護予防サービス | 要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 | |
介護サービス | 要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 | |
要介護3 | 270,480円 | |
要介護4 | 309,380円 | |
要介護5 | 362,170円 |
介護に必要な費用は本人が負担するのが基本なので、親自身の年金や預貯金から捻出することになります。
- 訪問介護
- デイサービス
- 住宅の改修費
- 医療費
- オムツ代などの日用品
- 老人ホームの入居代&月額使用料
親の老後問題:介護費用の軽減策
引用元:ほけん相談ライフナビ
介護に必要な費用は月平均で7.8万円です。
親の介護費用は親自身が支払うとしても、いつまで続くかわからない上に親の預貯金の切り崩しだけで足りない場合も考えられますよね。
介護費用が生活を圧迫することがないよう、国や自治体では所得に応じた介護費用の軽減策を設けています。
介護費用の軽減策1:高額介護サービス費
高額介護サービス費とは、介護にかかった自己負担が一定額を超えた場合に超えた分が還付される制度(一部のサービスは対象外)です。
自動的に還付される制度ではないため、自己負担が上限を超えるたびに領収書を添えて申請書を提出する必要があることを覚えておいてくださいね。
介護費用の軽減策2:高額医療・高額介護合算療養費制度
高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療費と介護費の自己負担の合算額が高額になった場合、自己負担額を軽減する制度(一部の費用は対象外)のことです。
被保険者の所得や年齢によって設定されているため、制度の概要を調べて支給の対象になる場合には忘れずに申請しましょう。
介護費用の軽減策3:自治体の融資制度
全国社会福祉協議会では低所得者や障害者、高齢者の生活を支えるために生活福祉資金という貸付制度があります。
給付ではなく貸付のため返す必要があり、厳密には軽減策とはいえないかもしれませんが追い詰められて高金利の貸金業者などから借り入れをすることがないよう、生活福祉資金制度のことは頭の片隅に入れておきましょう。
連帯保証人がいる場合には無利子で、連帯保証人がいなければ年1.5%の利子がかかりますが他から融資を受けるよりはずっと低い金利で借りられます。
介護費用の軽減策4:リースバックを利用する
親の住居が持ち家の場合、リースバックを利用することでまとまった売却代金を得ることができます。
リースバックは自宅を売却して売却代金を受けとる一方で、買い主とリース契約を結んでリース料を支払い、そのまま自宅に住み続けることができる制度です。
単なる売却とはちがってそのまま住み続けられるため、引っ越しの手間もなくまとまった売却代金で老後資金を補う道もあります。
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また専属のコンシェルジュが最大10社の不動産会社に対象不動産の一括見積りを依頼してくれるため、自分でいちばん高く買い取ってくれる業者を探す手間が省けるのはうれしいですね。
親の老後問題:老人ホームを探す
老人ホームに入居する場合には相応の費用が必要となります。
最初に支払う入居一時金と月額利用料の両方がかかるため、親の資産や年金で支払えるか確認することから始めましょう。
シニアのあんしん相談室なら、日本全国の老人ホーム10件に同時に資料請求ができますよ。
親が元気なうちは老人ホームの話題を出しにくいかもしれませんが、親の希望をいちばんに考えるのであれば要介護になる前にいっしょに見学に行く機会をもつといいですね。
親の老後問題:訳あり物件はどうやって売却する?
再建築不可物件や事故物件・空き家や借地・老朽化の進んだ古アパートなど、いわゆる「訳あり物件」の売却で悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
人口が増え続ける、または横ばいの都市部ならまだ通常の不動産売買で売却できる可能性もありますが、特に過疎化が進む地域だと訳あり物件の処分はより深刻な問題ですよね。
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訳あり物件をうまく売却できれば老後資金の足しにもできますね。
結論:不安の原因はお金なのか
誰もが「年はとりたくないなあ」と思っていますが、身体も物質なので劣化していくのは自然の摂理ですね。
むしろ個人的には「永遠の若さ」「永遠の命」といった言葉の方が絶望を感じます。笑
若さも寿命も限りがあるからこそ価値があるもの。
私たちの親も私たちも、老後を迎えることは避けられません。
老後の不安NO.1は「お金の問題」でしたが、掘り下げて考えるとお金そのものの問題だけではなく、家族との関係や収入につながるスキル、資産運用の知識など無形資産の不足に起因していることもわかりました。
親の老後資金について家族みんなで話し合ったり、自分の老後資金の形成に向けて貯蓄をしたり資産運用の勉強を始めたりと、早めに準備を始めることで老後への不安を解消しましょう。